#102 インターネットオーラルヒストリー
カセットテープでPodcastを販売します
どうも、ナカジです。
最近登録をいただいた方もいらして、特に樫田さんのメルマガから同時に登録いただいている方も多くありがたい限りです。ぜひ面白いので、読者の方でもしご興味あればオススメです。樫田さんの影響でで、自分もメルマガはもう少し更新頻度あげたいなーとは思っております。ただより長文は紙のメルマガの時代通信に寄せる予定です。
今回は、時代社というものを今年自分で立ち上げたのですが、そこでインターネットオーラルヒストリーという企画を立ち上げました。インターネットの歴史を残すために、2010年代的なインターネットを振り返る3名にインタビューをおこない、カセットテープに残すという企画です。
なぜカセットテープなのか?なぜインターネットの歴史を残す必要があるのか。そういうことを書いてみました。2010年代的なものをどう解釈するのか、それなしには2020年代は語れないし、紡げないと思っております。ぜひ興味ある方は、文学フリマ東京でお待ちしております!!
インターネットの世紀に生きてきた
私は1991年生まれで、物心ついたときにはインターネットがあった世代ではないが、小学校高学年ぐらいからPCをつかってインターネットに触れていた記憶がある。その頃はFlashなどが全盛期で、おもしろFlash動画を観たり、ゲームの攻略サイトを巡回したり、箱庭諸島や三国志のオンラインゲームをやっていた。
中学に入るとガラケーを持ち、iモードを利用してチャリ走のようなゲームをしたり、前略プロフィールでWebサイトをつくったりした。「ようつべ(YouTube)というものがすごいらしい」「Google Earthがすごい」と情報の授業で学んだのもこの頃だ。同じ時期に周りの明るい人たちはGREEをやっていた気がするが、自分は何かイキって、逆張りのつもりで手を出さなかった気がする。
そして高校生のときにiPhoneが発売され、手元にインターネットが広がった。ニコニコ動画の実況や動画にハマりつつあった。その後2010年に大学に入り、ガラケーからスマートフォンへ移行していき、様々なサービスやアプリが日々ローンチされるのを体感していた。アラブの春や震災での緊急連絡手段として、SNSというものがより広く認知されはじめたのもこの頃だったと思う。
私たちはそういう「インターネットの世紀」を生きてきた。そのインターネットの積み重ねが、現在のAI活用を成り立たせる膨大なデータを蓄えてきた。人の営みの多くがデータ化されてきた2、30年間だったように思える。
そうした中で、インターネットというワードや概念もいろいろ変化してきたであろう。この話は語り尽くされているので割愛する。何が言いたいかというと、自分が感じた2000年代後半から2010年代のインターネットの空気と、今のインターネットの空気は異なってきているのではないかということだ。去年、2025年を振り返るイベントとして「空気2025」というイベントを行った。その主題を「ポストインターネット・ポストリベラル」と置いたのは、特にAIが日常活用され始めたこの数年でもインターネットの空気は変わったし、今後もより変化していくだろうと思うからだ。
あの頃のインターネットの歴史を残したい
2026年に自分が考えたのは、「あの頃のインターネットとは何だったのか」を振り返り、その記録を残していきたいということだった。歴史としてインターネットというものへの語りを残していくことが、次の文脈につながるのではないかと。
ただ過去を回顧したいわけではなく、そのような過去の記録を残していくことが次の未来を作るヒントになりえるのではないかと思っている。文脈を紡ぐためには過去が必要だ。いつまでも同じように物事を捉えていても新しい文脈は見立てられない。過去のインターネットに対する感情や解釈を改めて学ぶことによって見える何かがあるかもしれない、そう思った。
そこで今回、インターネットの記憶を残す試みとして「インターネットオーラルヒストリー」を企画した。
カセットテープでオーラルヒストリー?
「オーラルヒストリー」とは、もともと歴史学などで用いられてきた手法だ。従来は公文書や新聞といった文字資料をもとに歴史を研究していたが、オーラルヒストリーでは「個人の語り」に注目する。客観的な事実だけでなく、「その時どう感じ、どう思っていたか」という主観や感情に焦点を当てて歴史を記録していく手法である。
この言葉をどこかで見聞きした記憶があり、事実ベースでの記事は多いものの、語りであの頃のインターネットを体現してきた人たちにインタビューした事例はあまりないかもしれないと思い、この方法で記録してみたいと考えた。
さらに、媒体はカセットテープに収録することにした。音声の語りだからPodcastなども考えたが、より生の感情や気持ちを出してもらいたかったし、それこそがオーラルヒストリーになると思えたので、誰でも聞けるような媒体でやるのは違うと思った。これはFASTFORWARDという雑誌をつくったときにも心がけたことだ、1万円にすることによって対象者を限定するからこそ届くものがあるのではないか。この数年は開かれすぎたものに対して閉じていきたいという思いがある。
そんなときに、この企画にも関わってもらっている、時代社のクリエイティブを依頼しているタカヤ・オオタさんのkernオフィスで目に入ったのがカセットだ。まず形がモノとしての存在感があり、サイズ感もちょうどいい。レトロな感じがオーラルヒストリーという企画とも合うと、その時直感的に思って、カセットテープを媒体に選んだ。
また、インターネットのほうが長く保存されると思っていたが案外そんなことはない。あの頃の記録や取材記事も、サービスが終了してしまうと、もう戻ってこない。意外にも、あの頃の記憶を蘇らせてくれるものほど、すでに終わってしまっていたりする。Podcastサービスが全て突然終わることはないかもしれないが、それでも意外にインターネット上に載せるのは脆い可能性がある。
あの頃のインターネットの語り部
そこで、誰にまず聞いていこうかと考えたとき、3名が浮かんだ。中川綾太郎さん、塩谷舞さん、高木新平さんである。
中川綾太郎さんは、2010年代のスタートアップ起業家の代名詞とも言える存在だ。学生起業でキュレーションメディアという発明を生み出し、その後もD2C領域などで活躍されている。「インターネットとスタートアップ」について語っていただくには、まさにベストな方だと思う。
塩谷舞さんは、当時からWebライターの第一線で活躍されていた方で、「しおたん」という愛称に馴染みのある方もいるのではないだろうか(現在は文筆家として活動されている)。オウンドメディア全盛期、ネット人口の増加とともにWeb記事の需要が爆発的に増え、ライター自身がメディア化していく流れの先駆けの一人である。その当時のリアルな空気感をぜひ伺いたいと思い、依頼させていただいた。
高木新平さんは、「よるヒルズ」などのコミュニティを立ち上げ、その後は家入一真さんのネット選挙を手伝い、インターネットの追い風を受けてブティックファームを設立された。インターネットの力を「政治」や「コミュニティ」の視点からどう見ていたのかを語っていただくのに、これ以上ない適任者だ。
まずは5月4日の文フリで販売予定
このお三方にそれぞれ90分たっぷりとお話を伺い、その音源をカセットテープに収録させていただいた。どれも非常に面白い話を聞けた自信がある。ぜひ興味ある方は手に取っていただきたい。
企画・デザインをいただいた、タカヤさんと店番やるのでこ-31〜32 (南3-4ホール)でお待ちしている!
どこで買えるのか?まずは、2026年5月4日の文学フリマ東京で販売してみようと思う。価格は文学フリマ限定で1本3,000円。当日は自分とタカヤ・オオタさんが売り子をしているので、見に来るだけでもぜひ立ち寄ってほしい。試聴用のカセットも用意する予定だ。
「カセットテープなんて聞けるカセットプレイヤーがないよ」という方にも、Jカード(歌詞カード)部分に内容の面白い箇所を抜粋したものを用意している。ただ、本当はカセットプレイヤーをなんとか入手して聞いていただけると面白いと思うので、強くおすすめしたい。
最後に
インターネットオーラルヒストリーといっても、どうしても自分と近しい年代向けのコンテンツになってしまったとは思っている。大きな言葉を使いながら、切り取っているのが2010年代中心になっているのは申し訳ない。
インターネットといっても定義は広い。自分が今VCとして働いているのは、あの頃のインターネットの影響が強いし、その当時のインターネットの空気を作ってきた人たちが、当時どう思っていて、いま振り返るとどう感じているのかについては聞けたつもりだ。なので、同世代ぐらいの人たちには深く刺さるコンテンツになっている自信はある。逆に、より若い人たちにとっては、当時の2010年代のインターネットがどういう空気だったのかを知れるものになっていると思う。
どうしても狭いインターネットオーラルヒストリーにはなってしまったが、その歴史をひとつ記録できたことには満足している。気になる方は、ぜひ文フリに足を運んでいただけると幸いである。
「文フリはちょっと行けない!」という方に向けては、5月中ぐらいにどこかで販売するイベントか方法を企画する予定なので、Xなどで情報を発信していく。気になる方はお待ちいただければ幸いである。
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