ANRIでは主にシードラウンド(First round)の投資を行っている。7割ぐらいが初めてのラウンドでの投資、3割ぐらいが今回の主題のPre-Earlyのタイミングでの投資である。後者のタイミングでも基本的には追加投資を実行することがほとんどである。そのタイミングでいつも、Early-stageのラウンドまで進むのは本当に大変だなと感じている。いわゆるシリーズAクランチという現象である。(どのラウンドも大変であることは間違いないが。)
Early-stageのラウンドで一番望ましいのは、PMFはもとい、いわゆるユニットエコノミクスで合っていたり、売上がグロースしており、投資資金のROIの蓋然性がぼんやり見えている状態。だがシードラウンドだけの調達金額でたどり着くことは少ない。(ただ実際にここまでたどり着くことはある)
実際には、売上は立っているがグロースまでは見えていなかったり、ユニットエコノミクスを擬似的に見せられることができるが、精緻にすると成り立っていなかったり、グロースのためのROIの蓋然性の証明はできていなかったりすることが多い。そういった状態でのラウンドを個人的にはPre-Earlyと呼んでいる。
今回の記事はそういったEarly-stage行くまでの間、すなわちPre-Earlyの資金調達について、自分なりに傾向と対策について考えていることを言語化を試みている。対象となるのはシード調達を終えた起業家などを想定している。
*ただこの記事を書きながらも、正直Pre-Earlyなんてものはなく、Earlyラウンド含めて進んでいくようなルートもあるので、定義もこの対策も一意見・解釈ではあるという前提で読んでほしい。また繰り返しだが、資金調達に正解はないので(人と人とのやりとり、いろんな思惑や健全なバイアスに基づく意思決定のため)話半分ぐらいのつもりで読んでいただければ。
*また、一定の企業にシリーズAクランチが起きる環境は健全であり、ある程度は仕方ないとは理解している。
-スタートアップにとってのWaypoint/Stage
スタートアップというのは、飛行機がWaypointをたどるように、資金調達という地図のWaypointを通過しながら成長していく、というのが通説である。シード、シリーズA、シリーズBなどといったようにである。しかし(諸説あるが)元々はこれらの名称も、優先株のA種・B種から来ているだけで、このWaypointの定義はあやふやである(ポストシードとか、プレシードとか、プレAなどは非常に定義が曖昧だ。)
様々な定義があってもいいと思う。そもそも曖昧なものだし。こういうものには絶対的な解答などあるわけない上、取り組むべき課題によっても異なるはずだ。その前提の上で、今回のPre-EarlyフェーズのWaypointをはっきりさせるために、一旦自分なりの定義を示してみた。
・Seed:プロダクト・サービスがない状態から開発し、リリースまでが最低限。そこから売上か先行指標のKPIが少しでも発生している状態
・Pre-Early:いわゆるPre A・ポストシードとか言われるところ。PMFといえるかどうか?というのが当落線上みたいな状態。売上・KPIはあり、ユニットエコノミクスが微かに見えている、つまりROIの蓋然性は緩く見えている。しかし、誰がみても伸びているとは言えないような状態。
・Early:プロダクト・サービスが確定しており、何にお金を投下すればどのように伸びていくか、ということが、ある程度の納得性と再現性をもって証明できる状態。事業計画が意味をなすようになってきている。
・Pre-Growth:成長の伸びは続いているが、少し成長率にかげりが見えてきている。その中で、違うセグメントや、新たなDistributionのチャネルを求め模索している状態。いわばグロースはしている一方、さらに一歩成長するためには何に資金を投下すべきか検証している段階。
・Growth(ここはより細分化できそう):いわゆるMiddleやLaterといわれるフェーズ。既存事業は順調に伸びており、新規事業や事業の複層化を考えているorすでに実行している状態。もしくは、まだまだ現状の延長に大きなマーケットがあるのでより投資を強めていく、ROIの蓋然性が非常に高い状態。事業計画との予実の乖離は狭まっている。いわゆるN-3からN-2に近い状態。
どうしても普段自分はシード寄りの情報に触れる時間が多いので、前半のほうが詳しいけれども、ざっくりこんな感じのWaypointを考えている。特にGrowthあたりはより細分化できそうだが、一旦省略。
今回は、このWaypointの中のPre-Early についての資金調達の傾向と対策について、ピッチを受けたり、投資先に対しピッチ資料・エクイティストーリーを一緒に創っていく中で気をつけている点・気になっている点についてまとめていこうと思う。
(*重複ですが、あくまでシードよりのラウンドを中心に見ているVCの意見なので、どの意見もそうですが、一意見としてぐらいで読んでください。)
-Pre-Early の傾向と対策
・What(何をするか)よりもHow(どう伸ばすのか)を説明する
シードでの調達と圧倒的に違うのはこの点。もちろんケースバイケースだが、シードの調達時は、プロダクト・サービスの価値提供(Value proposition)が本当に深く刺さるのか?ユーザー/クライアントに課題(Pain)があるのか?などといった、What(何をするか)の議論が多く、VCもこちらにより意識が向いている。もちろんどう伸ばしていくかについても考えるが比重は低い。
今回の主題であるPre-Earlyというステージでは、シードの資金を使ってある程度Whatの検証は進んでいるはずだ。もっというと最低限の売上もしくは先行指標のKPI自体が見えつつある(もしそうでなければPre-EarlyというWaypointではない)はず。
Pre-Earlyでは、PMFが完璧に検証できている必要はないが、ある程度プロダクトの刺さりは見えている段階(いわゆるPSF:Problem Solution Fitの段階と言えるかもしれない。といいつつ、これらの定義が曖昧であるのも事実)。しかしPMFしていると言うためには、〈どう伸ばしていくか〉がまだ曖昧なパターンが多いと認識している。
だからこそ、Whatと同じかあるいはそれ以上に、How(どのように伸ばしていくか)について投資サイドからみた重要性を論点にしたい。
Whatの説明で終わってしまい、Howについての説明があんまり無い場合がある。このフェーズで投資をする立場としては、投資させてもらうお金の使い方、すなわち〈どこにどう使うのか、CACはどのくらいだと想定しているのか、その根拠は?どのように営業戦略を考えているのか?そのためのリストは?〉など、どのように伸ばしていくかの解像度や仮説を知りたい。なので、そのあたりは意図的に資料に多めに入れておくと、ディスカッションがスムーズに進むと思うので、オススメする。
・シードの調達資金がどんな資産になっているのか/見えないBSのアセットはなにかを伝える
Howがある程度わかっている場合は良いが、実際にはそこまでの方法がわかっていない場合もあると思う。それでも、仮説を立てるためのリサーチを含め真摯にHowに向き合うべきだという前提はあるものの、〈前回の調達で何を実行して何を見つけたのか、社内には何のアセットが貯まっているのかということをより詳しく説明する〉、ということは気にかけてもいいかもしれない。
Howが見えていない場合、投資サイドは、Howの発見には辿り着かずとも、起業家やチームの思考実験のスピード、打ち手の数、ラーニングスピード、その結果蓄積されているアセット(知見、人的ネットワーク、プロダクトetc..)を見て判断するしかない。その点の評価が高ければ、もう一度シードとして調達することは可能ではある。
起業家は、使ったお金が何のアセットに変化していくか、そしてそれは事業成長のレバレッジになるのかを意識していると思うが、この状態であれば、それをより丁寧に説明するべきではないかという論である。
シードラウンドの資金で、どんな施策を打ったかや、何を検証したか/しようと試みたか(検証できなかった場合、何の仮説が間違っていたのか)に基づいて、次のアクションや資金用途をより説得力を持って説明できるかが肝である。すなわち、市場や仮説に対する高い解像度や得てきたナレッジがあることが、競合などに投資するよりが勝率がありそうだ、と思ってもらえるかどうかが重要になってくる。
・事業計画の数値に”意思”を強く入れる
上段のWhat→Howの話にも通じるが、シードの事業計画はあってないようなものだと正直思っている(ないがしろにしろというわけでは全くない。作る必要性はあるし、どういうロジックでどういう因数分解をしているのかは気になるので、自分も見る)。
しかしPre-Earlyのタイミングにおいては、プロダクト・サービスの輪郭はぼんやりとでも決まってきているはずだ。つまりはマネタイズモデルなどは多少は修正していくべきだが、大きくは変わらないだろう。とすると、事業計画を見る引力はより強くなってくるし、そこに”意思”を強く入れたほうが良いと思う。スタートアップというのは急成長を意味すると捉えており、そして成長は意思であると思う。
ここの表現は難しいが、精緻であることも大事だが、あえて”意思”と表現した。たとえば、マネタイズはこの段階でこう値上げするとかも含めて、意思をもって企業の売上を成長させるために何を考えているのかを、頭擦り切れるほど考えて事業計画に表すべきだと思う。つまり、現状からいけそうなプランではなく、成長のためにストレッチした目標、不確実性を許容した計画にするべきだ。後述するが、この理由はVCは不確実性を好むからだ。言うまでもなく正確な数字も大事だが、跳ねたときにどういう事業になるか?時価総額がどこまで大きくなるか?が頭によぎるからだ。
かといって、数字を盛れ!っていう話ではない。だから”意思”という言葉を使った。その意思を信じるかどうかは投資サイド次第だし、こちら側でも事業計画にはストレスをかける。伝えたいのは、もっと大きな売上のためには、いま見えている情報だけでなく、(また、その意思が絶対にそのタイミングで叶うとは100%断言できなくても)、会社を、事業をこう成長させるという意志を反映した数字を、事業計画に入れておくべきだと思う。
事業計画を見直すタイミングで、ジャンプアップするための壁を意図的に作り出す、(これを個人的には「PMFの複層化」と呼んでいる)それができる起業家は素晴らしい起業家だし、チームのモメンタムを上げていくことができるように感じるが、それはまた別の議題。
そうはいっても、具体的にどう作っていけばいいかというと、投資先には”1−3年の蓋然性の高さと、5−10年の夢の大きさ”を事業計画には込めてほしいと思う。大体次のポイントにいくまでの蓋然性は高めた方がいいが、その後の夢の部分はより強く意思をもって描くべきではないかなと個人的には思っている。
・VCは不確実性を好むことを念頭におく。だからこそリターンの大きなばらつきを許容している
上記でも説明したが、VCは少ない数の会社のリターンで、ファンドのお金をお返しすることが統計的にも証明されている。これは言葉を選ばずにいえば、大きくなるかもしれないし、ならないかもしれないという不確実性を「前提」としているということ、リスクの幅が大きい企業のほうがVCの思考からすると好まれるとも言える。(この傾向も市況によって変わるので、あくまでリターンの構造上からの意見。黒字化し健全な成長を求められるタイミングもあるとは思う、例えばValuationロジックの大幅な変更があったりなど・・)
したがって事業計画においても、意思を込める際に気をつけるべきは、すでにわかっていることからリスクの幅を下げにいくことを前提で事業計画を描くとVCが期待する不確実性から遠ざかる可能性がある、ということだ。だからこそ大きく描いていくための事業計画づくり・意識をもっていくことは重要だと思う。
では、具体的にはどうするべきか。VCの期待利回り(資本コスト)を20%-30%とした場合、年次で最低ラインでこの成長率を頭に入れてもいいかもしれない(ただ後述するが実際のPre-Earlyの期待利回りはもっと高いと思う)。
リサーチ不足だが、目指している上場の企業の目論見書を参考に、どのぐらいの成長率だったかをベンチマークとして見てみるのもいいと思う。
この記事を書きながら一つひらめいたのは、”売上100億円を作るための事業計画をつくる”みたいなのは思考実験としても面白いかもしれない。これは、どうユニコーンを作るかについて考えていた時に思いついた自分のこのツイートと、馬田さんの「売上100億円」という基準でスタートアップのアイデアの良し悪しを見分ける という記事を読んでいたことに由来する。
もちろん粗利率であったり、様々な異なる要因があるため必ずしも100億という数字が正しい意味をもつわけではないが、VCとしてはこういった事業計画があるとより前のめりになれると思う。
・Valuationを上げるには事業計画の意思と、資本コストの調整が重要
最後に、少し蛇足感もあるが、Valuationを上げるための考え方についても触れておこうと思う。結論から書くと、資本コストという概念を理解しそれを下げる活動をしておいたほうが、Valuationは高くなり調達をしやすくなる。(ちょっとこの辺り出自がFinace-backgroundでないため、間違ってたらコッソリ教えてください)
資本コストとは何?という話は割愛するが、このフェーズの調達だけにフォーカスすると、VCが期待する利回り/VCからお金を預かるコストだと考えてもらえればいいと思っている。基本的には、この利回り(割引率)が高いほうが、Valuationは低くなり、低いとValuationは高くなる。なので起業家としては資本コストを下げるほうが良いということになる。
Pre-Earlyでここを精緻に計算なんてしないが(あくまで自分は)、ValuationのロジックをDCFに基づいて行う場合、すごくざっくりいうと将来のCFと割引率で決まる。つまりこの2つの要素がどうなるかがValuationに響いてくる。
しかしCFなんてこの時点ではわからないため、擬似的には将来の売上(できれば粗利)を最大化することが求められる。それが今まで上段で記述してきた、将来の事業計画に意思を込めるという話に繋がってくる。
一方割引率というのは、その企業に期待する成長率、つまりVCからすると期待する利回りとなってくる。期待利回りが高い(資本コストが高い)ということは、企業へのビジネスリスクが高い(ばらつきが高い)ということになり、このような場合投資家の心理としては、(手前のラウンドである)今回のValuationを下げることによって、そのリスクを調節しようという引力が働く。一方資本コストが低いと、そのビジネスリスクは受け入れる(将来のCF,もとい事業計画を信じる)ということになるので、Valuationは上げても良いと思える。なので資本コストは下げにいったほうがいい。(*本当はおそらくCFの現在価値に割り戻して考える話ですが、ちょっと曲解して書いてます。すみません)
では、どういう行動をとれば資本コストを下げることができるのか。それは非常に当たり前の事になってしまうが、Investor Relations活動であり、既存投資家に対する密な情報共有と、新規投資家に対して早めのリーチになるかと思う。例えば、事業計画の数字の達成を毎回しているA社と、全く情報を開示せず事業計画も達成していないB社の2つの企業があるときに、どちらのほうが資本コストは高く感じるだろうか?それに近い感覚がこのようなフェーズにおいても当てはまると思う。
既存投資家が高いValuationをつけたりするのはこういった資本コストの違いから生じるものだろうと考えている(それが良いか悪いかは別として)。繰り返しだが、既存投資家に対しては積極的な情報開示を意識し、新規投資家に対しては早めのリーチと信頼関係の醸成に力を割くのが資本コストを下げる上で一定程度ワークすると思う。
一方で、当たり前だが投資家を向きすぎても仕方ない。まずは刺さるプロダクト・サービスを創り、事業計画に意思を込めることが一番なので、その優先順位を間違えてはいけない(投資家とばかり話して、ユーザー・クライアントに向き合わないのは一番良くない。投資家に対しては、テキストで共有ぐらいでいいというのが自論。)
*ただ、総論としてまだPre-Earlyであれば、相場感や、起業家・事業プレミアムと、今回調達したい額と希薄化のバランスから決まる場合が多いのも事実ではある。
と、ここまで書いてきたが、とにかく伝えたいのはどのように伸ばしていきたいかについては論点として極めて重要であり、その根拠の一つである事業計画の数字などには、意思を反映して、そこをピッチ資料でも説明していただくとPre-Earlyのようなラウンドでは良いのではないかと思う。
あとはその中で、それを信じてくれる投資サイドを探せばいい。全員が信じることはないし、それを目指さなくて良いと思う。
一方シード調達だけ行った場合、資金調達はスピード勝負感な部分もあるし、実際にスピードよく決まっていく場合がある。その後のラウンドは経験している人にとってはプロトコルが少し違ってくるので、そういった意味においても何かこの記事が参考になれば幸いだと思う。
ただ、自分も毎日投資先と苦戦しながらディスカッションしたり、資金調達のストーリーを描く中で、走りながら考えていることなので、この2023年現在の捉え方・考え方は来年には変わっていくかもしれない。そのように自分もアップデートしていきたい。
以下ちょっとした気になる点について羅列していこうと思うので、参考までにお読みいただければと思う。
-調達の小手先編
・当たり前だが既存VCをうまく活用する
これは言うまでもないが、資金調達に関する議論はファイナンスのプロトコルに基づくため、日々の事業への熱量と同程度に考え続けるのは難しい場合がある。なので既存VCに積極的に壁打ちしてもらうのはいいと思う。そして紹介なども積極的に頼んでみるのが吉。
・シードの資料の大体3倍ぐらいの資料の厚さにしておく(大半はAppendixでOK)
これもTipsっぽいが、シードのピッチデックと同じ感覚でそれ以降の資料を作るべきではない。シードでは、プロダクトさえあれば資金調達できるという場合もあるし、その意図も分かる。しかしPre-Early以降はファイナンスプロトコルにおける説明も必要となってくる。事業プロトコルとしては、うるせえいろいろ考えたところでやってみないとわからないだろ!っていう意見もわかるが、それだけだとなかなか厳しくなってきてしまう。
だからこそ、自分の思考の量を示す手段の一つとしても、シードに比べて気持ち3倍ぐらいの資料の量を認識して良いのではないかと思う。ただ、一番大事なのはストーリーなので、大半はAppendixにもっていくのでいいと思う。もっと資料作成・エクイティストーリーの上で、細かい論点はいろいろあるが一旦割愛する。
・独立系でないVCからの調達もちゃんと考える。シナジーで乗り越える資金調達は存在する
単純にこのラウンドは狭間感はある。シードVCからすると、「なぜ前のタイミングで入れなかったのか?」という問いに対して答えないといけないし、それを乗り越えるほどのトラクションなどがあるといいが、他のシードスタートアップと比較するとValuationも上がっているとか、メインスコープではないということで断られる可能性もある(これはこれでファンドサイズのラダー問題と個人的には思っているが・・別の話。)
なので、独立系以外の事業会社やCVC・エンジェル含めて、存在するオプションは真っ当に色々検討しておいたほうがいい。教科書的には、まだ事業会社からの調達などは色がつく等言われることもあり、早いという意見があるのも分かるが、資金が尽きてしまうと元も子もない。長期的かつあらゆる可能性を限定せずに捉え、M&Aも含めて、〈シード期を終えて、今の状態にとってどういう手段がベター/ベストか〉は一度真剣に考えて良いと思う。
・リード候補は早くみつける
これも当たり前だが、リードがValuationと契約書を決めるのが基本。なので早めにみつけて交渉すべき。
・「ちょっとまだ自社には早いかな」っていうぐらいのVCからまわりはじめる
これは小手先すぎかつ少し怒られるかもしれないが、資金調達しながらいろいろな意見を聞くことで自社事業の見られ方を含めて解像度が上がってくる。なので最初からそのラウンドにピッタリなフェーズのファンドから回るのでなく、少し遠回りになってもも、資料や仮説・ストーリーをブラッシュアップさせながら回った方がいいと個人的には思う。またVCの立場からも、起業家との接点づくりになるため、お互いにある程度はWin-winなのではないかとも思う。
・資金調達は3−6ヶ月ぐらいはかかるかもしれないと想定してRunwayを調整する
このフェーズでは、シードのスピード感とは違う。シードのスピード感の物差しではなぜこんなに時間がかかるのか?」と思う人もいるかもしれないが、(もちろんもっと短く終わる場合もある)3〜6ヶ月かかる可能性を念頭においてRunwayや調達にまわりはじめる時期を検討することをオススメする。
・シード調達時にはなるべく多めのお金を調達しておく。個人的には20%まで希薄化していいと思う
中途半端な状態のラウンドが一番きつい。このPre-Earlyというラウンドも中途半端だからきつい。なので、それを回避するためにもシード時の資金調達で多めに調達することをオススメする。自分の投資先の方々だと身に覚えがあるだろうが、結構積極的にシードで金額を集めることをオススメしている。X,000万円を出資するから、X,000万円、X億円までトータルで集めてください!というオファーをすることもある。
これはVCのポジショントークでもあるが、できるだけ検証を回すために、希薄化よりも額をとったほうがいいと思っている(1000−2000万の調達で20%希薄化してほしいと言っているわけではないことに注意。)
・Compsの議論まではまだ早いが、評価されているCompsがあるなら積極的にアンカリングしたほうが良い
Pre-EarlyのラウンドでどこまでCompsの議論をやるかは非常に悩ましいが、特に自分が投資する場合、既存のCompsが少ないときがあるので、議論の上げ方には悩む。しかし、今後Early、Growth、IPOと成長していく際に必ず焦点の一つになる論点ではあるので、もし評価されている/時価総額が高いCompsや目指したい企業があるならそこをCompsとして提示をこちらからするのはオススメする。