#113 説明できずらいものも大事にしたい
言語化の重要性と言語化で取り逃がすもの
今日投資検討をいろいろしていたときに、考えたことを呟いた。説明しやすさとユニークネス/独自性は反比例する。気がする。
これはAirbnbの〇〇バージョンとか、NOTAHOTELっぽい〇〇とか、参考にするサービスで翻訳をしてしまいがちではある。Palantirみたいなやつねーとか。
参考になるものがある場合人には説明しやすい。例えば海外で流行っているサービスの日本バージョンなどはそうだ。まずベンチマークがあるから、そのニーズがあることの説明がしやすい。なので投資においてもついついそういうものに惹かれてしまう。そしてそれが悪いわけではないとは思うし、自分もよくそのアナロジーで物事を捉えがちではある。
オリジナルがないものなんてのはないから人はみな何かのオマージュだし、大体新しいものは何かと何かの組み合わせ。
一方で、説明しやすいものだけに判断が慣れてしまうと危うさはあるとは思っている。説明がしやすいことは基本的には誰でも分かりやすいことをやっていることでもあるように感じる。人に説明するときにあえてわかりやすくするならいいけど、今の時代はわかりやすさを求めすぎている気がする。
そうなるとすべてが同じようなアウトプットになってしまう。起業シーンでいうと、SaaSが流行った時はSaaSをやり、AIが流行ったときにはAIがをやる。ただこの流れは馬鹿にはできない。流れには理由がある。
「しらけつつノり、ノりつつしらける」という浅田彰が『構造と力』で示した処世術のフレーズだが、そういう態度が重要な気はする。説明しやすいものはノリやすい。また説明しずらいものはしらけやすい。どちらものバランスをいかにとるかが必要な気はする。
今日もピッチなどを聴きながら、うわーこれ面白いけど説明しずらいなーということがあった。説明すると陳腐になるが、複雑性が実はある。というか人間という複雑性が集まって会社をやるならば複雑になるはずなんだ。Aという方向性を目指していたけど、A’からBやC、XまでPivotは多少なりとも起きていく、そのような許容度があることがスタートアップで未上場の良さである。(まあ正直大きなPivotは投資の失敗だとおもっているが、それは意見の相違はあるだろう)
そういう説明できなさをでも、自分はVCサイドにいるので説明責任はある。(まあ起業家サイドもあるが、より表現者ではあるので複雑性のままぶつけてもらってもいいとは思う。)その翻訳のことを投資メモとよぶのじゃないかとおもうが、これもシンプルなほうがわかりやすいが、ほんとうは複雑なものなはずだが、どこまでを書いていこうかといつも迷う。
また言語化の時点で、その人の目や圧、オーラなどはこぼれ落ちてしまう。オーラがある人でした。と書くのは簡単だけど何にも伝わらない。なにかその説明できない感覚的なものというものを大事にしていかないと、説明ができるものはAIによって判断したほうがいいだろう。
そういう説明のしずらさというものを説明していくという矛盾した行為を投資ではしていかないといけない。いやまあ他人から何かをレバレッジするということはそういうことなんだとおもう。自分の資本で全てやる場合はいらない。オーナー企業のほうが美学が見えやすいのはそういうところにある気がする。
でもその説明できなさがブランドであり美学でありなにかにつながるのだと思う。
美とは、規則はないのに規則的であるもの、概念なしで必然性を感じさせるものを指しています。「こうであるべきだ」と、何かに依拠しているわけではないのにそう感じる状態。これをカントは「目的なき合目的性」と読んだ(手段からの解放)
「このワインは美味しい」と感じることは、完全に私だけのもの、主観的なものです。あらゆる人に当てはまることではなく、普遍的ではありません。正確を期するなら「このワインは私にとって美味しい」と言わねばなりません。 ところが、美の場合は事情がまったく異なる、とカントは言います。彼によれば、私たちは何かに美を感じるとき、他のすべての人もそれを美しいと感じることを期待するものです。「この音楽は美しい」と感じるとき、「この音楽はきっと誰にとっても美しいはずだ」と思っている、ということ。もちろん実際には、同じものに対して美しいと感じる人もいれば、美しくないと感じる人もいます。しかしそれでも私たちはつい、他の人も美しいと感じるはずだと想定する、他の人も同意してくれると期待する、というのがカントの主張です。(近代美学入門)
その説明できなさだが合意するものが美というものなのかもしれない。美について個人的にはもっと考えたいというところで、終わり。
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