スタートアップとはなにだろうか。そういった問いはこの数年ずっと考え続けていることはこのメルマガでも書いてきたことのように思える。インターネットだからスタートアップなのか、ソフトウェアだからスタートアップなのか。結論そんなことはないのだけれども、この数年でスタートアップの定義は揺らいでいる。
そういった中で最近スタートアップとは身分不相応な挑戦をしている状態ということで自分の中では仮固定の定義を以前させていただいた。
我々は宇宙人が公開!週末は映画館へ。。
そんな一つのスタートアップが勝負の日を迎える。NOTHING NEWという映画制作会社に投資をしているのだが、初アニメの長編を公開する。タイトルは我々は宇宙人だ。
構想から5年かけて作成した全編手書きのアニメ作品である。どういう作品かというと非常に説明に困るが、青春映画でありホラー映画でもあり、感動エンタメ作品でもある。言えることは6回ぐらい見ているが、毎回終わった後に少し泣いているし、非常にくらう映画である。ハードルを上げすぎても仕方ないが、誰しものなにかに刺さるような作品になっている自信がある。アートムービーでもありポップコーンムービーでもある。
なぜスタートアップ・身分不相応なのかというとまずNOTHING NEWのチーム自体はまだ経営陣含めて5人しかいない。そして誰も映画公開のノウハウなどがないところから始まっている。そのチームが全国公開を最初からスタートをきれるようなことができていることが身分不相応なチャレンジをして来た結果であろう。
お願いとしては、ぜひこのメルマガを読んでいる方に今週末に映画館に足を運んでほしい!後悔させない映画体験であると思うので、ぜひ感じたことを一緒に話したい。
NOTHING NEW
最初にあったのは他のエンタメ系の投資先の代表からの紹介だったと思う。渋谷のボーリングカフェでうるさいボーリングの音を聞きながら代表の林さんと会った。ただ縁を感じたのは会う前に2人の友人からNOTHING NEWという面白い会社が出来て、ナカジさん好きそうですよってメッセンジャーで来ていたことだ。
その後に紹介があって、林さんからの初めてのメッセージをその友人に送ったのが下記の画像だ。
そうして最初に出会った時には今回の”我々は宇宙人”についてのコンセプトアートはあった気がする。そのときに林さんから、「ネクストムービースターはもう見つけました。門脇です。」と話をされたことを覚えている。
もう見つけてんのかい。とおもいながら、話を聞くに連れて、林さんの熱量と覚悟を感じていくなかでこれはぜひこの挑戦に出資することができないかということをその場で思ったことは覚えている。
そうはいっても、そう思っても投資ができないことが多くある中ではどのようにこの会社を通そうかということは頭を抱えながらあれこれ試行錯誤しながらでも最後は気合で投資をさせていただいた。その当時のNOTHING NEWのピッチ資料は、スタートアップのピッチというよりは、企画書に近いものであり、どうこれを翻訳すべきかなーとおもったが、同時に普通のスタートアップの投資検討と異なる感もあり楽しかった記憶もある。
そうして、シード調達においては少なくない大きな額を単独でANRIから出資させていただが、まずその時点ではこの映画が完成するかは信じていたが正直まったくわからなかった。
しかしそれでも勝ち筋はあるように見えた。PFが海外勢が覇権を撮る中で、そのPF上のルールに則って作品を作る中では大化けをするコンテンツは生まれづらい。また大量生産を強みにしようと思うと資本のゲームになってしまう。そうなるとUSやChinaに勝つことは極めて困難だ。そのアンチテーゼ的な成長方法として、作家性にかけて勝負をしかけていくことは良い筋に思えた。
また映画も規模が大きくなると再現性を重要視する。そうなると原作がヒットしてないと・・前の映画がヒットしたから2をやろう・・とかそういったなにか説明可能性があることに頼りがちになる。それは仕方ないことだ。しかしそれでは初めて映画をつくるときに原作なしでは難しいということになってしまう。それは日本の強みであるような作家性をだすことができなくなってしまうのではないか。その構造的な弱みを小さいスタートアップだからこそ賭けることができる勝負になるのではないかと思えた。
それはA24の韻も踏んでいる。同じような構造上の表現スペースはあるんじゃないかと個人的には見立てていた。
マスメディアに巨費を投じる従来型の宣伝・広告は行わず、オンライン上のファンダム形成に集中するという宣伝広告戦略も功を奏したA24は独自の映画配給路線を突き進んでいく(中略)
A24が取り扱う作品はどれもエッジが効いている。作家性を大事にしているし、若い才能の発掘にも意欲的だ(ユリイカ A24とアメリカ映画の現在)
実際投資をしてからは色々あった。全部を書くと長くなりすぎるので割愛するが、いろいろな試行錯誤を繰り返しながらも今回の我々は宇宙人を作り続けてきた4年間だったと思う。
まず最初にこの会社が売上が上がったのはポップコーンだった。下北沢ボーナス・トラックでTAN PEN TONという場所を持つことから始まった。VHSでショートムービーを見ることができるカフェ。
初めて今の我々は宇宙人の20秒ぐらいのカットをみた2024年のワンシーン
オフィス引っ越したときに訪問しにいたっとき
いろいろ4年間であったが(NN4444やら夜にしか見れない自販機やら、視ては行けない展やらetc.etc.)
あと実際にカンヌの監督週間に選ばれたときには一緒にカンヌまでいったこはこのあたりの記事で書いた。
#108 権威は誰が与えるのか
もう先々週になるが、弾丸でカンヌ国際映画祭に行ってきた。理由としては投資先のNOTHING NEWの我々は宇宙人という初の長編アニメ作品が監督週間にノミネートされたからだ。そこに気づいたことや考えたことのメモを残しておく。こういうのは今やらないと多分忘れて書かない。
無事今回の我々は宇宙人が公開までたどり着いたことはNOTHING NEWチームが身分不相応の挑戦をし続けた結果だと思う。おめでとう。聞いてきた限りだけでも不当な扱いを受けたり、いろいろ馬鹿にされてきたこともあるとおもう。まずこの素晴らしい映画を世に出せたこと、出してくれたことを一人の視聴者として感謝している。この結果がどうであろうとスタートアップの挑戦をしていたことは間違いない。
一方で本当の意味でここがスタートライン。他のスタートアップと違って本番の期間は短いし残酷だ。この映画の公開期間で人が入らなければ早々と4年準備した劇場公開が終わってしまう。この映画が当たらないとなかなか会社も大変だ。
まだNOTHING NEWというスタートアップの挑戦ははじまったばかり。これからも身分不相応であり続けてほしい。ぜひ日本のスタートアップという解釈をNOTHING NEWの挑戦により広げていってほしい。













