#95 今年冒頭の投資注目テーマのふりかえり
滑り込み良いお年を
2026年までぎりぎりで更新。。。紅白見ながら書きました。
直近は結構バタバタとしていて、あんまりメルマガが更新できてなくてすみません。空気2025という配信イベントをやったりして、最後非常にバタバタと年末をむかえてしまいました。
このメルマガも気づいたら#95まできていて、これを読んでくれている方々のおかげで文章を書くことを続けられている気がしています。ありがとうございます。
今年は雑誌をつくったりもしたり、して多くのことに挑戦ができた年になったと思います。来年もより挑戦的なこと、面白いことを仕掛けていければなとおもっておりますので何卒よろしくお願いいたします。
これも数年前からやっているが、毎年年初あたりにその年の注目領域を描き始め7年ぐらい経っているが、その振り返りをこの数年を始めている。2025年の注目領域は下記の記事で書いたので興味あるかたぜひ。
結論、2025年の新規投資は自分は1社だったが振り返ってみるとこの上げた投資注目領域をミックスしたような1社に投資をした気がしている。(まだ公表はしていないが、、)
#70 2025年の投資注目領域
自分の中でのペースメーキングとしても、2019年から毎年書き続けている注目領域。毎年だが1年のテーマは変化するので3年ぐらいの予想で、3年ごとぐらいが変化の幅としては面白いんじゃないかなとは思ってはいる。一方で見返すとこの年はDXのことを考えていたなとか、Web3.0一色じゃないかとかその年の雰囲気や空気を自分も見返せるので今年も書いてみる。過去作はこちらから、もう7年目。2019年、2020年、2021年、2022年、2023年、2024年。
https://note.com/nakaji_memo/n/n6c85bce47aca
*ちなみに2024年の振り返りはこちらからも読める。久しぶりに読んだけど、時代は繋がっている気がしていて、毎年やることの意味を感じている。。来年も遅れるかもしれないがやるしかない。
ここから先で、注目領域の予想と結果を○(当たっていた)、△(うーん微妙)、×(外れた)で結果を振り返っていきたい。
治安維持・防犯tech系=>△
2025年の冒頭としては、トクリュウのような闇バイトが非常にニュースに出ていた時期だったように思える。直近でようやくそういった組織が逮捕されたというニュースが流れていたが、治安維持のような文脈において何かが投資されたかというとうーーんという感じではある。
ただ自分が都会に住んでいて、マンション住まいなのでそういった防犯関連を家にしなくてもいいということが影響しているのかもしれない。もしかしたら地方の一軒家などにおいて、防犯カメラ系などにおいてトレンドがあるとしたらキャッチアップできていないかもしれない。そういったヒットAIカメラみたいなのはまだまだ可能性としてはありそうだ(治安維持が伸びる世の中が良いとはいえないが)
闇バイトのニュースが流れてから、インターネット含めて防犯グッズ系がよく売れ始めているのはニュースでみており、そういったグッズにおいて例えばAIカメラ系などは起業テーマとしてもありえるように思える。まあ大体手段は多そうだが、、
ALSOCKの綜合警備保障のような会社を今のスタートアップが一からつくったらどういうようなものになるのかというのは良い問いかもしれない。現在5,000億円以上の時価総額(2025年1月時点)がついている。
サイバーセキュリティとDefense=>○
引き続き国際情勢は良くない。特に2025年の大きな出来事としては高市政権になったことは日本の一つの変化ではあろう。2025年の年末においては、日中関係は悪化しているままである。日本への観光客というのは声ベースだが減っている。
サイバーセキュリティにおいても大きなニュースがいくつか日本においてもあった年だったと思う。大きなものはアサヒグループへのサイバー攻撃だろう。9月にサイバー攻撃を受けて、受注・出荷が全面停止をしている。他にも近鉄エクスプレスや、tenki.jpなどにおいても同様なものが起きている。
国としてもサイバー対処能力強化法などを制定したり、能動的サイバーディフェンスも認められている。
そうした中でのスタートアップとしても、日本サイバーディフェンスや、スカイゲートテクノロジーズ、Oceanic Constellationsなど広義の防衛産業におけるスタートアップの資金調達がよく目にした1年だったと思う。Defence techという領域が立ち上がってきた2025年だったように感じる。台湾有事の可能性は来年以降含めて緊張感が増す中で、この領域はまだ課題が山積みであろう。つまり解決策も求められているのであろう。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000160651.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000064283.html
そして広義にいうと、防衛関連も脅威の拡大に対抗するという意味においては残念ながら必要になってくる。過去にもDefensetechは日本からあり得るのかで書いたが、日本のスタートアップとしてできる範囲内、スタートアップに限らず日本の企業ができることがどこまであるかはわからない。認知領域/インテリジェンス/ナラティブ攻撃対策あたりは日本でも対応しないといけない課題ではあるとは思う。
Big issue × コンサル or Deeptech => ○
今年Palantirのようなモデルや、Forward Deploy Engineerみたいな議論がより増えた年だったように思える。それはAIのようなテクノロジーの変化にどのようにValue chainなどのようなものを合わせていくのかについて、プロダクト先行型ではないようなものが増えた気がする。
この数年はあらゆる分野においてこのような入り方をしていく企業は増えていくような気がしている。AIスタートアップとよばれるものは、1つのプロダクトでPLGみたいなストーリーは一握りになる可能性が高い。
https://zenn.dev/hellorusk/articles/f75f6d41b0a30c
ひとつは大企業が追いついてない変化ある分野を活用して、更に細かいところまでケアするコンサルティングっぽい入り方で入っていく方向性。もうひとつは大企業がいまは信じていないテクノロジーを活用し解決する方法である。
後述するAIの成長とともに、全世界的に課題となる電力不足やこの時代の課題の気候変動やなど含めて、Bigissueへの深刻度は今後も増していく。
AIサービス乱立と、現状のテクノロジーで解決できる範囲と実用性の交わる点がでてくる=>○ or △
この数年がAIの時代であることは疑いようがない事実であるとは思うが、今年AIサービスとしてCursorとかがビジネス職においても、普及やアテンションが増えたように感じる。自分も今年にObsidianなどを使いはじめ、Cursorで整理することなどが増えてきた。AI-agentとよばれたバズワードを少し感じることができたが、記事でかいたようにAi-helper止まりでは現実ではまだあった。(これはワークフローの問題でもあるかもしれない、DifyやJinbaなどのようなサービスを使いこなしているわけではないので。。
一方で自分の生活でいうと去年から変わらずChatGPTやGeminiなどを中心とした利用が継続している。そういった意味において交わる点はふえてきてはいるが、劇的なことがおきたわけではなさそうだ。ただ今年後半のnanobananaなど含めて、画像生成などにおいても来年にも期待できることが多そうな気がしている。
昨年の後半の1つのバズワード化していた”AI-agent”の議論は今後も続くが、現状はAI-helper止まりであることが多い。これは自分がうまく使えてないだけかもしれないが、能動的にAIを活用しないとまだ使えない。しかしこの労働力が不足していくことが現状は既定路線のこの国において労働力としてのAIは真剣に考えなければならない。
それはカスタマーサポート、エンターテイメント/コンテンツ業界・マーケティング領域あたりからなにか匂いがするが、自分にはわからない。
AI-Nativeな生活に必要なもの => ○
音声AIプロダクトが結構社会に普及していった2025年だったのかもしれない。今年は様々なAIボイスコーダーの市場が勃興したとしであったようにも思える。Plaudや、Limitless Pendantなどのようなものから、様々なAI音声系のハードプロダクト・ソフトプロダクトが充実していっているように思える。
LLMのようなものをうまく活用するためにも大量な情報が必要となってくるので、その会話データや画像データなど含めてそういった独自なデータを溜めていく必要性がある。そういった個人データをためるようなものがAI-Nativeな生活には必要になってくる可能性がある。来年以降もこのあたりのAI-Naitiveな生活に必要なものには注目をしていきたい。
それはAI議事録とかなどもそうだとおもうし、テキストを書く際に自分なりのchatGPTやPerplexityなどのものを使う方法を思いつくとかでもいいのだが、日常にAIを道具としてより使っていく工夫をしていくことによって、AI-naitiveな生活に足りないものが見つかりそれをつくることは一つの起業テーマになりそうではある。
コンテンツファンドなど、他資本コストの多様化がより出現 => ○
去年はVenture Debtなどのような資本コストが市民権を得て、今年はコンテンツ系のファンドの動きが多かったように思える。K2 film fundや東宝のファンドや、吉本興業などがファンドを組成したりしはじめている。
自分も今年にCANTEENの私募債を手伝い、少額だが人生初のエンジェル融資をさせていただいた。ベンチャーキャピタルという存在がこの10年間は様々なリスクマネーを背負ってきたが、来年以降もこのあたりのうねりは起きそうな予感がある。
VCか銀行だけだと息苦しい。多様な資本コストができることが、より多様な未来を創ることに繋がる。そういった意味においてもVCで勤めている身としても変化がより年々迫られてくる感覚はある。こういったことをやろうとしている方とはより話をしてみたい。
アルコール・飲み会のリプレイス => △
これは明確なものがおもいついたわけではないが、近年続いている〇〇展というムーブメントにはこのリプレイス感がある。見る対象があり、映画などと違って話していいから、体験しながら話す。かといってディズニーランドにいくみたいなほどの負荷はない。気軽にいけて、対話ができる場所になっている気がする。
このあたりのオフラインイベントというものは2026年も引き続き注目したい。
いい人すぎるよ展、視てはいけない絵画展、あの職員室 etc..
しかし飲み会ではなくとも、対話の場所というのはコロナの反動でより求められている感もあるし、社会に提供していく必要性があると自分は思っている。そういった文脈においてのボードゲームや、マーダーミステリーなどのようなコンテンツは対話の創出になりえている気がする。またシーシャのブームもそういった飲み会のリプレイスの後押しをしていると実感としてはある。
デジタルデトックスとつながりすぎた孤独(Hyperconnected Loneliness)対策 => △
孤独解消において、一大投資テーマとしては2025年はそこまで見当たらなかったけれども、もしかしたらPodcastの裾野が広がった1年であったように思えて、そういう意味においてはSNSからそういったクローズ度なものがより重要視されてくるのかもしれない。
例えば会員制ビジネスのようなものはもう少し伸びるかもしれない。会員制でコミュニティもあるジムなどは今もあるかもしれないが、そういったものへの注目がより集まる気がしている。例えばそれはesportsにおけるcrazyraccon のようなみんなで集まってゲームをする場所かもしれないし、理想としていたweworkのような概念なのかもしれない。アダム・ニューマンがやっているflowのようなものかもしれない。そういったある種のコミュニティを基軸とした会員制ビジネスというものは個人的には注目している
自己改造・ルッキズムと付き合い方 => ×
自分だけかもしれないが、2024年のときほどマンジャロなどの勢いが止まっている気がする。かといってVtuber化がすごい進んだ感じもなく、このテーマとしてはキャッチアップが正直できていない。
この数年で整形などのサービスの伸びなども見てきたが、一時期ほどの熱量ではないきがしているような。。ただそれは一般化しただけであるきもする。
身の回りで変化があるとしたら痩せ薬系を使っている人が2024年爆発的に増えた気がしている。そのぐらいプチ整形に近いものっていうのがより普通になってきている。例えばマンジャロなどを打っている人は周りでも多い。食欲抑制する効果があるらしい。(中略)
前述したSNSが主となった時代にSNS上ではハレの日というか多少加工されているものが多い。そういったバーチャルな主体に対して現実の主体を近づける行為というものは今後も引き続き行われると思う。重複だがその行為自体が悪いわけではないと自分は思う、一方ルッキズムだけに傾倒していく社会も怖い。
日本在住外国人向けサービス => ×
ここもキャッチアップはできてないが、どちらかという政治の影響でネガティブなニュースが多かった。一方で必ずこの領域のサービスは必要になってくるので、今後も注目していきたい。
今後も人口減少・少子化の前提条件の日本において労働力が不足していくことがある程度みえている。そのなかで前述のAI・ITの力を活用して補っていくか、外国から労働力を補うかにおいてはどちらも進めていく必要性がある。
ニッチの時代 => △
AIによって個人のクリエイターの力が爆発し、小資本で大ヒットするものがもっとどんどんでるような未来では現状は正直そうではなかった。流通を握っているテレビなどが逆に威力をましてきているような気もしている。
一方で今後はそういう小さな集合体が多くできてくるような気もしており、劇的にニッチが勝つ!みたいなニッチなものがマスマーケットをとるということはないかもしれないが、小さな熱狂が乱立していく可能性は大いにあると思う。
ありきたりだがそれこそ思想を持った個人がAIの力を活用しニッチななにかをより作成し届けていくことの流れはより期待しているし加速する気がしている。賛否あるが、例えばパルワールドみたいなものはそういったニッチからでたヒットでもあると思う。
今後も各分野において、ニッチの逆襲までいうと言い過ぎだが、小資本で対象を絞ったはずなものが大ヒットするというような現象が起きていく挑戦はあるし、投資もしてみたい。
ということで年末すべりこみで一旦、2025年の投資テーマの振り返りをしてみました。来年も多分どこかしらで書くとおもうので、積み上げていきたい。
良いお年を!来年もお願いします。

